仙台地方裁判所 平成3年(わ)553号 判決 1992年5月29日
本店所在地
仙台市若林区卸町四丁目三番地の一
原由水産株式会社
(右代表者代表取締役 伊藤義男)
本籍
仙台市青葉区桜ヶ丘五丁目二七番
住居
同区桜ヶ丘五丁目二七番一六号
会社役員
伊藤義男
昭和二二年一二月一日生
右株式会社及び伊藤義男に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官赤根智子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人原由水産株式会社を罰金二、〇〇〇万円に処する。
被告人伊藤義男を懲役一年二月に処する。
被告人伊藤義男に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人原由水産株式会社は、仙台市若林区卸町四丁目三番地の一に本店を置き、水産物仲卸を目的とする株式会社であり、被告人伊藤義男は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人伊藤は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、水産物の売上を除外する等の不正な方法により所得を秘匿した上
第一 昭和六一年八月一日から昭和六二年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億一、九六六万五、七二六円であったにもかかわらず、昭和六二年九月三〇日仙台市青葉区中央四丁目五番二号所在の所轄仙台中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、二八三万一、四〇八円でこれに対する法人税額が二、二七一万二、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四、六五四万九、一〇〇円と右申告税額との差額二、三八三万六、九〇〇円を免れ
第二 昭和六二年八月一日から昭和六三年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が九、六一四万二、二六一円であったにもかかわらず、昭和六三年九月三〇日前記仙台中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、三二三万二、六三九円でこれに対する法人税額が一、四四四万一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三、六六〇万六、一〇〇円と右申告税額との差額二、二一六万六、〇〇〇円を免れ
第三 昭和六三年八月一日から平成元年七月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億八八一万三、五一九円であったにもかかわらず、平成元年一〇月二日前記仙台中税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、六八八万九、七六五円でこれに対する法人税額が八二〇万六、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四、二四九万一、二〇〇円と右申告税額との差額三、四二八万四、五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一 被告人会社代表者、被告人伊藤の当公判廷における供述
一 被告人伊藤の検察官に対する供述調書
一 被告人伊藤の大蔵事務官に対する質問てん末書三一通
一 被告人伊藤外一名作成の上申書
一 高木勇の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書一九通
一 小松進及び福岡伸一(二通)の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 佐藤和明、高橋正行及び遠藤次雄の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 原由水産株式会社の商業登記簿謄本
一 検察事務官作成の捜査報告書(五月二七日付け)
一 検察事務官作成の電話聴取書
一 次の者作成の各上申書
千葉節子、北本昭則、大宮今朝子、遊佐好美、高木勇(二通)
一 大蔵事務官作成の
1 売上除外額調査書
2 仕入調査書
3 役員報酬(架空分)調査書
4 従業員給与手当(架空分)調査書
5 受取利息調査書
6 支払手数料調査書
7 交際費(認容額)調査書
8 交際費損金不算入額調査書
9 退職給与引当金繰入超過額調査書
10 損金不算入の利子割調査書
11 未納事業税調査書
12 事業税認定損調査書
13 代表者勘定調査書
14 (株)キシノ勘定調査書
15 社長貸付金調査書
一 次の会社の商業登記簿謄本
株式会社はらよし、株式会社キシノ、レーブ開発株式会社
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六一事業年度分)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六二事業年度分)
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六三事業年度分)
(法令の適用)
一 罰条
各事実につき被告人会社につき法人税法一六四条一項、一五九条
各事実につき被告人伊藤につき法人税法一五九条(七四条一項二号)
罰金刑につき平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項(刑法六条、一〇条)
一 刑種選択 被告人伊藤につき懲役刑
一 併合罪加重 刑法四五条前段
被告人会社につき刑法四八条二項
被告人伊藤につき刑法四七条本文、一〇条(犯情最も重いと認める判示第三の罪の刑に法廷の加重)
一 宣告刑 被告人会社 罰金二、〇〇〇万円
被告人伊藤 懲役一年二月
一 刑執行猶予 被告人伊藤につき刑法二五条一項(三年間)
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 齋藤清六)